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スペシャルインタビューVol.1

平成29年4月1日、海老名総合病院は、神奈川県県央医療圏で唯一の「救命救急センター」を開設し、センターとして歩み始めたばかりです。大学病院を超えるほどの救急車受け入れ台数に、毎日やりがいを感じながら仕事しています。
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―平成29年4月に、海老名総合病院に「救命救急センター」がスタートしました。それまで先生方はどちらに勤めていのたでしょうか?また、海老名総合病院にどんな感想を持たれましたか?

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山際 それまで大学病院という大きな組織の一員でしたが、救命救急センターの立ち上げの話を聞き、またとない機会だと考え、手を挙げました。今は良くも悪くもすべての責任が自分にある。プレッシャーは大きいですが、覚悟の上だし、ワクワクしています。以前、所属していたのは高度救命救急センターで、熱傷をはじめとするより特殊なケースを中心に対応していました。海老名総合病院では軽症から重症までを幅広く診ており、救命救急センターの指定を受けてからは重症患者の受け入れも増えています。当センターは常駐スタッフ8人で、中規模の病院にしては多いほうですね。それでも大学病院に比べたら少数精鋭。ただ、救急車の台数は年間8400台ほどで、大学病院の実績を超えています。やりがいは大きいですよ。
佐藤 私も山際先生と同じ大学病院の高度救命救急センターにいて、3ヵ月前に着任しました。救急車の台数が多くて、大変だけどとても充実しています。海老名は神奈川の中でも比較的若い人が住む町だと言われていますが、患者さんは高齢の方が多い印象ですね。中でも脳卒中や心筋梗塞、肺炎の方が多いです。高齢になると、症状をうまく訴えられなかったり、身体所見が取りづらかったり、同じ病気でも若い方とは重症度が違ったりします。医師になって13年目ですが、医療知識や患者さんへの接し方を含めて、日々発見。勉強することが毎日たくさんあります。

―海老名総合病院の救急科の特長はどこにあると感じますか?

山際 一番は、他科との関係性が良いところです。大体の診療科が相談しやすく協力的で、それが治療に生かされています。つい先日、一時的に意識を失った高齢の方が運ばれてきたのですが、お腹が膨れていて、エコー検査をしたら腹部の動脈に瘤が見つかりました。これは腹部大動脈瘤の破裂による失神だな、と。一般的には、CTを撮って診断をつけてからでないと他科の医師を呼ぶことはできませんが、時間との勝負ですから、すぐに心臓血管外科の先生に連絡を入れ、その足でCT室に移動しました。撮影が終わって戻った頃には心臓血管外科の先生が到着していましたから、すぐに輸血を始めて、タイムラグなく手術に入れました。結果的に患者さんを救うことができて、その方は今では元気に歩いておられます。もちろん、他科の先生を呼んだものの、こちらの予測が外れていたということも時にはありますよ。それでも嫌な顔をされないから、「きっとこうだろう」という段階でスタートダッシュが切れるんですよね。
佐藤 他科との連携の良さは私も感じます。あとはこの救命救急センター自体、比較的やりたいことができる環境で、サブスペシャリティーを持ちたい人にはぴったりじゃないでしょうか。私救急専門医の資格を持っていますが、今は外科の専門医資格を取るために勉強中です。当直日は日勤がないので、日中に心臓の手術を入れたり、当直明けは基本的に休みなので研修に行ったり、自由に使えています。それ以外の完全にオフな日は、寝ているか飲みに行くかしています。
山際 いろんな専門の、いろんなバックグラウンドを持つ医師が集まっているのはおもしろいですよね。例えば、患者さんの中には精神的な問題を抱えている方もいますが、幸いうちは精神科の専門医が2人もいるので、メンタル面のケアの仕方も教えてもらえて勉強になります。大学病院では治療までしても、ケアは専門の医師に一任していましたから。ここに来て初めて、患者さんの精神的なフォローとも真剣に向き合っているように思います。

―いろんな科から人が集まるとなると、チーム内の人間関係が気になるところですね。お二人はとても仲が良さそうですが、その点についてはいかがですか?

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山際 かなり仲がいいですよ。緊迫した日々の中でも仕事を楽しもうというスタンスが浸透していて、何より上下関係に縛られないフラットな風土があります。冗談も言い合うし、時間が合えば飲みにも行きます。さっきも控室で、夏休みに何かイベントしようかという話になって、「目の前に田んぼがあるからそこで裸相撲しようぜ」なんて話してたんですよ(笑)。ちなみに、佐藤先生の愛称は「教授」です(笑)
佐藤 本当に風通しがいいチームですよね(笑)。私は38歳、山際先生は41歳で、センター全体の平均年齢は30代前半ですから、比較的若いメンバーがそろっているのも理由の一つだと思います。変に達観している人はいないし、純粋にやる気のある人が集まっているので、互いに切磋琢磨できる、いい関係が築かれていると思います。

―先生方は今の仕事に大きなやりがいを感じておられますね。これからも救急医としてキャリアを築かれるご予定でしょうか?

山際
私自身は医師である以上、救急に携わっていたいですね。でも、救急から開業する人はけっこういるんですよ。一旦、地方の中核病院に移籍して、総合診療科で1~2年経験を積みながら地域に基盤をつくるイメージです。最近では救急科から内科系に転科して、あるいはダイレクトに、在宅医療の道へと進む人も増えています。それだけ在宅医療のニーズが広がっているのもありますし、ワークライフバランスを重視して進路を変更することも多いようです。手術がとても上手な外科の先生が在宅医療に転向したケースも知っています。外科と救急で進路を迷ったり、行き来したりする先生もいますね。
佐藤
医療というのは、手術や治療だけでは完結できないことがあります。緩和ケアなどはまさにそうですよね。そこに気づくことで、患者さんとより密に関われる在宅医療という選択肢が出てくるのだと思います。私自身は山際先生と同じく、この先も救急医でいたいです。救急の良いところは、特に患者さんを選ばないこと。本人やご家族は何の病気で、どれくらい悪い状態なのかわかりません。私たち医師からすれば軽症でも、患者さんからしたら不安だらけです。だからどんなケースでも断らずに受け入れるのが、救急の在り方なのだと私は思っています。

―最後に、救命救急センターではどんな方が活躍できると思いますか?

山際
サッパリしている人ですね。パッと朝来て、バッと仕事して、サッと帰るという意味で。もちろん長時間働ける人も歓迎ですが。あとは連携が大事ですから、明るくて、しっかりコミュニケーションが取れる人。女性、子育て中の方にも来てほしいです。残念ながら当センターにはまだ女性医師はいませんが、日中だけの勤務といった希望にも柔軟に対応できます。私自身3人の子どもがいて、妻は看護師なのですが、彼女は子育てをしてだいぶ人間的に深みが増したように感じるんですよね。それだけ出産・子育てというのは、女性にとって重要なライフイベント。だから全力で応援しますし、私だけでなく周囲も理解があると思います。
佐藤
人生1度しかないので、やりたいことをやるのが一番です。私は救急が好きで、その気持ちがあるからどんな大変なときも乗り越えられました。逆に、この環境を楽しめないと続かないでしょうし、臓器別に何かしたいという人にも合わないのかなと。目の前の患者さんだけでなく、その人の背景も含めて、社会的なことを包括的に考えられる人が活躍できると思います。
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