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下田メディカルセンター 整形外科、小児科

県からの派遣で、夫婦で下田メディカルセンターに赴任中のK先生(夫)とN先生(妻)。K先生は整形外科、N先生は小児科の常勤医として勤務しながら、2人の子どもを育てています。家庭やプライベートも大事にしながら、やりがいのある仕事に就く。そんな下田ならではのワークライフの魅力を語ってもらいました。

―同じ病院にご夫婦で入職したきっかけをお聞かせください。

K先生 夫婦ともに同じ大学の出身で、下田メディカルセンターには県からの派遣で赴任しました。赴任先は他にもいくつか候補があったのですが、前任地での整形外科の経験を活かせるこちらの病院を選びました。前任地が長崎県の対馬という離島だったので、そこに比べると下田はかなり都会といった印象です(笑)。日常生活で不自由なことはまったくありません。周りには有名な観光地が多く、海にもすぐに遊びに行ける環境に、家族全員が満足しています。
N先生 赴任した当初は2人目の子どもが生まれたばかりでしたが、上の子は市内の保育園に、下の子は院内併設の保育施設に預けることができました。子どもが急に熱を出しても院内に病児保育があるので心強く、安心して仕事と子育ての両立ができています。この地域は子育て世代にとって生活しやすい上に、小児科の需要が高く、小児科医としてのやりがいも感じています。下田での暮らしがとても気に入っており、来年も引き続きここで勤務したいと希望を出しているんですよ。

―この病院の整形外科、小児科で働く魅力は何だと思いますか?

K先生 この近隣では、整形外科の手術対応ができるのは当院だけです。整形外科を掲げる開業医の先生もいないので、腰や膝の慢性的な痛みから、骨折、手術を要する症例や、術後のリハビリまで一貫して担っています。一人の患者さんを一から十まですべて自分で診られる環境は、整形外科にこだわって赴任した僕にとっては非常にやりがいがあります。それに患者さんとの距離が近いのでコミュニケーションが取りやすく、自分もこの地域に住んでいるからこそ、その方の退院後の生活まで考えた治療計画を立てられます。例えば「あの地域はバスがないから、リハビリに通うのは大変だろう。入院してもらうほうがいいな」といったふうにですね。最近では、娘が通う保育園の友達や両親、おじいちゃん、おばあちゃんを診察する機会も増えていて、地域の皆さんから頼りにされることが私自身の喜びにもなっています。
N先生 小児科も専門医はこの地域で数人しかいません。外来で患者さんと接していても、皆さんから頼りにしていただいていると感じます。一方で、お子さんは夜間や休日に体調が悪くなることが多く、できることなら24時間365日いつでも診て差し上げたいのですが、一人でできることは限られています。私自身子育て中ということもあり、その点を病院側がよく理解してくださり、当直業務の免除など、非常に手厚くサポートしてくださっています。夜間や救急対応は、院内の内科の先生方や地域の医療機関と連携がしっかり取れており、負担のない範囲でいろいろ任せていただけることは非常に有難いです。

―整形外科も小児科も常勤医は1人ということですが、大変ではありませんか?

K先生 基本的に手術は僕一人で行うので、不安がないわけではありません。しかし、難しい手術の場合は応援の先生が入ってくださったり、経験豊富な看護師がフォローしてくれたり、とても心強いです。毎週金曜が手術日ですが、JMAグループの先生が外来の応援に来てくれるなど、常勤医が少ない分、サポート体制がしっかりしていると感じます。当直は月2~3回と負担のない範囲ですし、それ以外にオンコールが入ることはほとんどありません。内科との連携が良いのも当院の特徴ですね。全身管理が必要な患者さんの相談や、夜間の緊急入院なども内科で対応してくれるので、とても助かっています。私自身も、重症患者の転送先の病院とネットワークを密に取りつつ、地域で唯一の整形外科として、できる限り地域で治療を完結できるように心がけています。
N先生 私のほうでは自分なりに心がけていることがあります。一つは、夜間・休日の急変に備えて、緊急度・重症度の判断を適切に行うように注意を払うこと。重症化が予測されるお子さんは早めに大きな病院に紹介したり、外来では自宅で様子を見ていい場合、ダメな場合の症状の変化などを、事前に親御さんにお伝えしたりしています。例えば、喘息のお子さんは定期的に治療に通っていただき、なるべく発作が起こらないようなケアを日頃から心がけています。親御さんも「週末を迎える前に来ました」と、早め早めの受診を心がけてくださるようになりました。小児科のスタッフはみな意識が高く、当院の看護師は点滴など幅広い処置ができます。お子さんの介助にも慣れているので、かなり助けられていますね。重症患者の紹介先である大学病院の先生が週1回、診療応援で来てくださるなど、地域内で医療連携がしっかり取れているのも心強いです。

―現在の課題や、今後の目標をお聞かせください。

K先生 今の一番の課題は、患者数増加による予約待ちの長さです。地域で整形外科は当院だけですので、どうしても患者さんが集中してしまいます。基本的に重症患者さんはドクターヘリで大学病院に搬送しますが、それでも予約が2週間待ちといった状況。そんな中でも、痛みが強い方や、骨折をして動けない方など、早急な対応が必要な場合はできる限り予約外でも診るよう努めています。開業医の先生方からのご紹介も、断らずに受けたいと考えています。病院のすぐそばに住んでいる患者さんを、遠くの病院に搬送するのはやっぱり心苦しいですよね。私としてはできる限り自分で診させていただきたいと思っています。今後は、受診の必要性をある程度ご自身で判断していただけるように、患者教育や予防への啓発にも力を入れていきたいですね。
N先生 自分が親として病児保育を利用する中で、見えてきたことがたくさんあります。例えば、診察後に薬の処方や会計待ちで時間がかかることが多かったので、薬は薬局から直接保育室にお届けし、会計は後からでもできるように改善しました。スタッフにも協力してもらい、朝の診療時間も早めました。今後も利用者にとってより使いやすい病児保育を目指します。また小児科も、できる限りこの地域で医療を完結できるように心がけています。この地域では1歳児半健診、3歳児健診の後、医師、保健師など健診に携わった人たちでカンファレンスを行っています。他職種が関わり合い、情報交換をすることで、子どもの体や成長に関すること以外に家庭環境などもわかってきます。今後も積極的に参加し、診療に役立てていきたいと思います。

―最後に、下田メディカルセンターに興味をお持ちのドクターにメッセージをお願いします。

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K先生 脊椎だけ、股関節だけを診たいという方よりも、整形外科全般を診たいという方が活躍できる環境だと思います。そういう意味では、まだ専門が決まっていない若い先生にこそお勧めしたいですね。常勤医が少ないので責任も伴いますが、その分やりがいは大きいです。仕事とプライベートのオン・オフがはっきりできるので、自分の時間が取りやすいのも魅力です。わが家は毎年夏になると家族で下田に遊びに来ていたので、渋滞もなく、こんなにすぐに海に行ける環境は本当に贅沢です(笑)。こちらに来てからはサーフィンを始めるなど、新しい趣味もできました。
N先生 発達障害や不登校など、どこに相談していいかわからないという方のご相談にも対応していきたいと思っています。現在も臨床心理士に月1回、カウンセラーに週1回来てもらい、思春期のメンタル相談を含めた心理カウンセリングを行うなど、幅広い領域を診る小児科を目指しています。私は病院敷地内の職員寮を利用しているので、子育て中の母としては、住まいが職場のすぐ横にあり、通勤時間がかからないのがうれしいですね。夫も育児に協力的で、家族で過ごす時間も増えました。子育てと仕事をストレスなく両立できているのは、ここに来たからこそかもしれません。

取材日:2018年11月

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